【商品名】 山口県岩国商業学校
　　　　　　　　　　　第五学年生某氏による 「錬成日誌」
【刊行年】 昭18・19年
【状態】 経年相応の劣化有
【備考・コメント】
A5判、180P余、直筆ペン書。
4月8日より翌年3月18日迄毎日ほぼ余白なく記入。執筆者は大正14年生れ、兵庫県瓦木国民学校卒。

○ 七月一日 （木曜・雨天）　起床：五時半　就床：十時
訓話：一年生のベント箱にナイフで穴をあけて二階の用水槽に入れた者があった。今日はこの者がわかるまで全校生は残るべし。
反省：学校内で此の様な事件がおこったと云ふ事は実に不満です。近頃下級生に不平多く色々な事件があったりする。私は実に不愉快なり。全生徒がこの大東亜戦争を良く理解するなればすべてに不満はないでありませう。五時まで皆残った。
戦況：インド沖の戦果、輸船六、巡艦三、駆艦一、撃沈破敵機三十一機撃滅　

○ 九月二七日 （月曜・曇天） 起床：六時〇〇分　就床：十時〇〇分
訓話：今週強調事項、敬礼。今日は映画の観覧に行くが静かに見ること。
反省：朝から松竹座へ愛機南へ飛ぶを見に行った。なかなか良い映画だった。一少年から初まりとうとうその子が母の愛情によって立派な航空兵となって国の為につくすと云ふのであるがいかに母性愛と云ふものは子に関係しいかにその子を立派にするかが明らかにされる。又この映画は良く写されて居て空中戦の所などは吾々の手に汗をきぎらす様です。
戦況：敵巡艦一隻ソロモン島で撃沈。

○ 一月一日 （土曜・晴天）　起床：六時　就床：十時
今や皇紀二千六百四年、昭和十九年の決戦の新春第三年を迎えたのです。皇威は増々盛んで日本国も盛んとなり大東亜三周年の新春をむかえて今年こそ決戦の年であるとはりきった国民の意気を示す時なのだ。 （中略）
又今年は徴兵適齢であるので何れ検査を受けなければならないが私は見事立派に通過して此度は銃を執っての第一線に働かねばならないのです。友人達も多くこうして出るであらうが皆決意を新にしていた。私もこの決戦の年に兵隊として国家の為に尽す事が出来るかと思ふとうれしくてたまらない。十九年度こそ米本土までたたきのめす年である、そうしてそれをやるのは皆吾々の役目であるのです。