【商品名】 平野威馬雄「自筆書簡」一通+「自筆詩稿」三枚
【消印】 昭和6年9月12日付
【状態】 経年相応の劣化有
【備考・コメント】
詩人・文学者の平野威馬雄(1900-1986)は、柳原愛子邸(港区北青山)で生まれ、横浜市で育った。
書簡の宛先は、詩人の「正富汪洋」で、200字詰原稿用紙6枚にペンで書かれている。封筒付。久しぶりに正富邸を訪れた喜びや、その訪問の4・5日前に書いたという近況報告等、正富を慕う様子が窺える良き内容。『慟哭』『葩(時)』『回復期』と題した三編の自筆詩稿3枚(各400字詰の自家用箋にペン書。少イタミ有)が同封されている。
●“…(前略)僕は、もう、あの、つむぢ風の様な、通り魔の様な不行跡をアイスクリームの様に流し去ってしまって、この数年来、家の者に忠実な、無駄使ひもしないおとなしい平凡な人間として、母や妻子や、弟武雄と共に生きて居りました。…(中略)…僕は何をして暮らして居るかと申しますと、永年用ゐてゐた始末のわるいコカイン中毒をすっかり根治致しまして、実に、太りました。五人の子供の父です。…(中略)…僕の職業は、実は昔と同じです。物を書いて、読んで。けれども、昔見た様に、呑気ぢゃないんです。兎に角、急に、昔の様な環境が消えたからです。で、書いて楽しむ。ではなく、売りたいのです。…(後略)”